『太陽と月の大地』あらすじ(ネタバレ)と読書感想文の書き方例文

こちらでは、2018年の「第64回 青少年読書感想文全国コンクール」中学生の課題図書である
『太陽と月の大地』の「あらすじ」と「読書感想文の例」をご紹介いたします。


太陽と月の大地 (福音館書店)
著者:コンチャ・ロペス=ナルバエス・著 宇野和美・訳 松本里美・画
184ページ
本体価格:1,600円
ISBN978-4-8340-8162-6
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『太陽と月の大地』のあらすじ(ネタバレ)
『太陽と月の大地』のおすすめ度とポイント
『太陽と月の大地』の読書感想文の例

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『太陽と月の大地』のあらすじとおすすめ度

作品概要
16世紀スペイン。キリスト教徒の伯爵令嬢マリアと、伯爵家に長年仕え友情を育んできたイスラム教徒の家に生まれた少年エルナンド。ふたりの間には恋が芽生えるが、やがて両家の人々は異なる宗教・民族間の対立に巻き込まれていく。悲惨な戦争の果てに、エルナンドは故郷を追われていく……。宗教や民族の違いによって引き裂かれ、運命に翻弄される人々を描いた歴史小説。

内容(「BOOK」データベースより)
「見ろよ、ハクセル、海だ。アフリカの海、そしてグラナダの海だ」信じる宗教はちがっても、ふたりは親友だった。時代はめぐり、かれらの子や孫たちは、災いの化の中に巻きこまれていく―。いつか再び、共に平和に暮らせる日まで。16世紀グラナダを舞台に、宗教・民族の違いによってひきさかれ、運命に翻弄される人々をえがく。―スペインで読みつがれてきた児童文学の名作、初邦訳!

≪名称など≫
モリスコ・・・キリスト教徒に改宗したイスラム教徒
グラナダ・・・スペイン南部のアンダルシア地方都市
モーロ・・・イスラム教徒

1 アルベーニャ伯爵のお越し
ディエゴ・ディアスは宗教も立場も乗り越えた親友、ドン・ゴンサロ(故人)の息子アルベーニャ伯爵一家がやって来るので家族総出で準備にいそしんでいた。ディエゴの息子フランシスコと孫のミゲルは伯爵の為に貢献する事に不愉快な思いを感じていた。伯爵の次男イニゴはディエゴ一家を見下し、娘のマリアはディエゴの2人目の孫エルナンドと遊びに行くとはしゃいでいる。

2 逃亡
ディエゴと広場にいたミゲルがモリスコの娘にセクハラしたキリスト教徒の若者を殺してしまう

3 山賊たち
ミゲルは羊飼いのマルティニーリョに助けられ、モリスコの山賊として生きることにする

4 魔女
アルベーニャ伯爵一家は今年の夏はアルプハーラで夏を過ごすことにした。マリアはエルナンドとモリスコの老婆と出会い、2人を洞穴に誘い2人に予言をした。「二人とも幸せになるように生まれついている、だが…この先に邪悪な力が待ち受けている」「月の上に太陽がかかっている。その怒れる日ざしで月は粉々に砕け海に落ち、遠い異国の浜まで波に運ばれていくだろう…お若いの、太陽には注意おし。太陽はキリスト教の味方だ。毎日、太陽の強い日ざしが、青白い月の光を隠すのさ。モーロに寄りそう月をね」

5 サンファンの夜
アルプハーラでの2人の夏は毎日があっという間に過ぎた。
祭りの日にイニゴは「モリスコたちが異教の風習に従っている」と怒り、ディエゴから聞いたミゲルの件や伯爵がディエゴ一家をのさばらせていると怒る。

6 とらわれの身
山賊の頭ムルタニーはキリスト教徒への憎悪の強い血も涙もない男。ミゲルは止める術もなく、伯爵の長男ゴンサロを捉え奴隷として売り払うことにした。ミゲルは隙を見てゴンサロと2人の従者を逃がし「一緒に来い(伯爵に)許しを乞うてもらう」とゴンサロは言うが「許してくれなど頼まない、許しを求めるのはそっちだ」と去っていった

7 恋する王子の伝説と鳥の言葉
ゴンサロの件で、伯爵家族は出かける時は護衛をつけることにした。マリアはエルナンドが側にいることによろこんだ。秋になり伯爵一家は領地に帰っていった。その頃からキリスト教徒とモリスコとの溝が深まる一方だった

8 鞍商人
クラナダの街でモリスコの習慣の一切を禁じるお触れが出た。キリスト教徒の中にもモリスコを庇う者はいたが叶わなかった。ある日ミゲルが変装して帰って来てグラナダの街での蜂起に父フランシスコとエルナンドを誘いに来た。フランシスコは「リスクの少ない方法はないのか?」と言いエルナンドは「味方になるキリスト教徒もいるので、この方法がいいのかわからない」と乗り気になれない。モリスコは、自分たちの王ドン・フェルナンド・デ・バロールに選び蜂起は冬に行うことにした。

9 思い出
ディエゴは少年時代のドン・ゴンサロと宗派を超えラマダーンを楽しんだ思い出を懐かしく思い出しながら12月に亡くなった

10 モリスコの王
1568年12月24日に蜂起を決起したアベン・ファラクス一団は一般のモリスコは行動しないので落胆し怒りを感じたが、山にいたモリスコには予定どおり蜂起したと告げた。信じた山のモリスコたちはキリスト教徒の村々を襲った。ミゲルは山で仲間の山賊をなだめたり、キリスト教徒を避難させ、羊飼いマルティニーリョに洞穴にかくれるよう約束させた。王はアベン・ファラクスのこの行為を知らず、惨劇を目にし愕然とした。

11 戦い
ミゲルが反乱者の一人として、家族であるエルナンド一家は役人に捉えられた。だが伯爵が見受け人となり釈放された。だが自宅に帰ると畑は荒らされ、家畜は奪われ、畑も塩がまかれ全てを失っていた。近所のキリスト教徒から不信がられ、暴力に苦しみ、ついに老番犬が刺し殺されていた。一家は賊徒がいる岩山に隠れに行った際、母アナは老モリスコの勘違いで矢で撃たれて死んでしまった。戦争はその後2年続き、ミゲルも死に、伯爵の次男イニゴも死んだ。反乱に加わらないモリスコも故郷を追われ、グラナダ王国は寂れてしまった。

12 奴隷
フレンシスコとエルナンドは戦争の間、山中を転々とし洞穴に隠れていたがキリスト教徒に奴隷として捕まり、競り落とされることになった。伯爵はフレンシスコとエルナンドを高額で競り落とし助け出した。ショックを受けているエルナンドはマリアの気づかいによそよそしい態度を取る。エルナンドは「あなたの家族の奴隷となり果てた」マリアはエルナンドの苦渋に満ちたまなざしに耐え兼ね、馬を乱暴に走らせ止まらなくなり落馬した。幸いケガはなかったので2人は仲直りした。

13 旅立ち
マリアの落馬以来、エルナンドは明るく振る舞うが、伯爵一家に親切にされると逆に怨恨を感じて自分を恥じた。落ち込むエルナンドをマリアは遠乗りに誘うが、エルナンドが「元の家の土地を見たい」と言い出し、見に行く。畑も家も荒廃していたが、唯一ハトは残っていると思ったものの野良ハトが住み着いただけだった。「うちのじゃない…僕らの家や土地を占領したやつらとおんなじだ。」それ以来エルナンドは再びふさぎ込み前より苦悩が深くなった。なぐさめようがなくなり、マリアはエルナンドを自由にしてくれるよう頼むことにした。
伯爵は「この中に、自由を証明する通行許可書が入っている。奴隷でなければ、グラナダの地にとどまれないし2人にはいてほしかったから自由にしなかった。そなたたちを所有物と思った事もなく、いつでも真の友だった」と言った。
フランシスコは「しかと承知しております。しかし人が自尊心を持てるかどうかは、自分が自分をどう思うかで決まるのです。伯爵がお心をかけていただいてもこの家ではどれでした。買われた時から、自分を奴隷と感じてきたからです。ですから今自由を頂いて、再び命をさずかったような心地がします。伯爵が支払ったお金は必ずお返しします」とフランシスコとエルナンドはアフリカに行く事にした。伯爵一家は2人を見送りに行き、マリアは憔悴し、エルナンドも美しいマリアの姿に後ろ髪ひかれたがガレー船は進み始めた。エルナンドは何年も前にアルブハーラで老婆に言われた言葉を思い出していた。

14 アルジェからの手紙
マリア・ゴメス・デ・エルコス様  エルナンド・ディアスより
アルジェにて 1573年7月28日
奥様
便りができなかったのは、ついてから2年の多くの辛苦のせいと悲しませたくなかったからです。
今は仕事も順調で、平穏に暮らしていますが、グラナダの事や、残してきた友のことで気がふさぎます。アルメリアからのモリスコの養蚕を手伝うようになり繁盛しました。伯爵が競り落としたお金を渡してください。わたしたちが本当に自由だと思うためには、こうするしかないのです。1日としてグラナダの事、奥様のことを思わない日はありません。

マリア・ゴメス・デ・エルコス様  エルナンド・ディアスより
アルジェにて 1585年5月2日
奥様
伯爵が亡くなった事を知り、わたくしと家族は深い悲しみに襲われました。家族は奥様ご一族を親戚のように思っているのです。わたくしの父も死に、晩年は恨みの念が強くなり苦しみました。バレンシアやアラゴンでもモリスコとキリスト教徒の対立が激しくなったと聞き、モーロの血筋の民は、スペインから追放するよう国王陛下に迫る声が大きくなったとか。わたくしたちがなかよくなって欲しいとの希望は風前のともしびです。

マリア・ゴメス・デ・エルコス様  エルナンド・ディアスより
アルジェにて 1615年1月6日
わたくしは達者にしております。が心は悲しみに暮れております。
フェリペ3世国王陛下がスペイン王国の全てのモリスコに追放令を発布してから、アルジェにも大勢のモリスコがきました。みなひどい目に合い浮浪者になって食いつないでいる者もいます。わたくしの夢は奧様とわたくしの孫が「平和ごっこ」をすることです。お兄様のゴンザロとわたくしが決闘のまねごとをしていたら奥様が「わたしは平和ごっこがしたい。だって、平和な時は果物がとれるし、たのしいことがいっぱいあるもの。」と。わたくしは心の中で、幼いころ自分が手にしていた棒を何度折った事でしょう。そして、この先も何度も折って見せましょう。
私は年老いて体も弱りましたが毎夕日没のころ、月に見守られながらグラナダの方角をながめるのです。

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『太陽と月の大地』のおすすめ度とポイント

 

読みやすさ★☆☆☆☆
感想文の書きやすさ★☆☆☆☆

こんな人におすすめ
・宗教問題に興味がある
・戦争や紛争の原因に興味がある
・悲恋に興味がある

『太陽と月の大地』読みづらい!読破には根性と集中力が必要な1冊
スペインで1980年代に書かれ、30年以上読み継がれてきた名作『太陽と月の大地』
物語自体は短いものの、まぁ~とっつきにくく読みづらいストーリーが全く頭に入りにくい日本人には迷作です。さして重要でもない登場人物エピソードが多く「これ誰だよ?」と何度も思い悩みその時点で読むのが嫌になります。しかも16世紀スペインの歴史や時代背景を知らないと共感もしにくいので「ふーん」という感じです。

16世紀のスペインで、宗教対立から内戦が起こり、エルナンドは故郷を追われ、家族を1人、2人と失い、父と共に敵に見つかり奴隷となる。祖父の代から仕えた伯爵家への恩を忘れることなく、淡い恋心を抱いた伯爵家の娘マリアへの手紙はとても切なく、エルナンドが辛苦の日々を過ごしてきたことが綴られています。

主軸は「二人の若者の悲恋」ということですがあまりに淡い恋すぎて「えっ?恋してたの?」とも感じ「悲恋」キーワードで購買UPを目指したのかな?と感じます。また祖父の代の話や兄の話など脇役の話などは核家族化した日本人にはなかなかピンと来ないと思われます。どちらかというと国を追われた家族の物語と思った方が良さそうです。
日本は八百万神というくらいですから、宗教観には寛容です。また他国の人が日本に定住していることも排除運動などおこらない良くも悪くもグレーな国ですが、それは島国だから感じる余裕なのかもしれません。
外国の文化は白黒はっきりさせるモノがあります。スペインの歴史的背景を知ると物語も入ってきやすくはなります。宗教観と民族のちがいで内戦や追放など、異文化排除の思想のえげつなさを感じとれれば読書感想文も書きやすくなるでしょう。
 

『太陽と月の大地』の読書感想文の例文

 
用紙・字数のルール その他の詳細
原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

中学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

応募のルールについての詳細はこちら⇒ 「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」

≪読書感想文に盛り込む意見のポイント≫

・自分の中に知らぬ間に抱いている偏見はないか?
・自分の国に違う主義主張の民族が台頭してきたらどう思うか
・価値観の違う人を受け入れるにはどうしたらいいのか?
・自分の国の文化を否定されたり、国から出て行けと言われたらどうするか?

  

『太陽と月の大地』の読書感想文の例文

『太陽と月の大地』読書感想文2000文字用の例文【2作品】はこちら
『太陽と月の大地』読書感想文の書き方【例文2作】

 

読書感想文で「高得点」を得るためのポイントはこちらのページに書かれています!ダウンロードできる「そのまま使えるテンプレート」やダウンロードできる「構成のサンプル」もありますので是非活用してください。

読書感想文の書き方のコツ【中学生・高校生】図解

 
以下参照:読書メーターより

■宗教の大義、国や民族の大義が、個人の良心や友情と対立するとき、人はどうすべきなのか、自分の足もとを揺さぶられるようだった。舞台は16世紀のスペイン・グラナダで、作品が書かれたのが1984年。にもかかわらず、ここに書かれている宗教のちがいによる対立と悲劇は、今も変わらず世界をおおっている。この作品を読めたことは大きな喜びだったけれど、長くかなわなかった邦訳が今年になって実現したというそのことには、複雑な思いを抱かずにいられない。
 
■国家、宗教、階級、家族、すべての人が納得するようには動かないものばかり。ごっこ遊びでも良いから「平和ごっこ」が続いたなら…。アルジェに渡った後でエルナンドが祈る「神」はどちらの顔をしているのだろう?
 
■刺し殺された”キリスト教徒の名家の子息”は自業自得だ。体の線を見せることさえ許されない若い娘の顔布を考えもなくはねのけ、くちづけをするなんて。異教への尊敬ってないのかな。腹立たしい。モリスコたちが立てた新しい王も不憫だ。聡明で公平な人だっただろうに、一部が暴走したせいできっととても多くのものを失った。平和の象徴とされがちなハトが、本作では暗雲や絶望を示すものになっている。願わくは太陽と月が共に大地を照らしますように。

■キリスト教がイスラム教の王朝を倒し新たに国を治め始めた頃のスペイン。キリスト教に改宗した元イスラム教の人々もがだんだんと迫害されて行く。国が変わり、親友だった祖父と男爵の家族らは世代を経るに連れ立場や関係も変わっていく。一応主人公と男爵の娘の恋物語が主軸の話の作りだが、印象的なのは、登場人物の個々の人生やその人間関係、一族の流れが国や戦争等の社会の変革により否応なしに振り回されて行く様だ。ただ社会、祖父等の家族の記述が主人公より多くて感情移入しにくく、物語としては中途半端なきがした。絵は綺麗でいい雰囲気。

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中学生の今年の課題図書ははっきり言って難しいです!
物語の扱うテーマうんぬんというより、読みずらいと言うのが正直なところ。ですが課題図書で感想文にチャレンジする姿勢は評価されます。

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